それから&門
最近どうも小説ばかり読んでいる。なんやかんや通読したことはなかった『それから』『門』を続けて読んだ。完全にネタバレなので御注意。
『それから』
いやはや。刺さりすぎますって。
主人公代助の変化を過剰に恐れてる感じとか、普段は難しいことを考えているくせに理屈にならない行動に出ていろいろなものを台無しにしてしまうところとか、分かりすぎてまあもう胸が痛くなりますわな。
最後、職探しをしにいったのはよかったと思う。そのあとのシーンは発狂したとみる向きもあるようだけど、僕はそうは思わないな。一段落したら、たぶん別人として生まれ変われると思う。まさに『門』の宗助のように。
『門』
『門』は『それから』に比べるとより救いがない。不倫愛の後ろめたさを糊塗しながら生きる夫婦の話である。ただただ疲弊した感じが行間から漂ってくる。
もっとも、互いへの愛情が確かなことは救いだとは思うのだが、どちらか片方が亡くなったらどうなってしまうんだろうか。
ちなみに京都、特に京大周辺の情景描写も出てくるのだが、漱石は結構京都に対して辛辣で、つい笑ってしまう。
また「崖下の家」でイメージしたのは白山あたりだけど、漱石はどのへんを想定したんでしょうね。