アンナ・カレーニナ

アンナ・カレーニナ』を光文社古典新訳文庫版で全4巻通読した。

www.kotensinyaku.jp

読んだ人は知っているだろうが、アンナ・カレーニナといっておきながら、アンナのほかにリョーヴィンという地主貴族も出てきて、この人も主役級の扱いをされているのである。

とはいえ、やはり(汽車から始まり貨物列車に終わる)アンナのヴロンスキーへの気持ちの移り変わりが最大の見所ではあると思う。ただ、リョーヴィンのほうのパートで展開される田舎の領地の情景描写も実に鮮やかで、人間心理と風物をともに丁寧に描くトルストイの筆力半端ねえ。

これに加えて社会変動期のロシアの政治の話も絡んでくるので、実に多面的な、さまざまな読み方ができる物語なのである。これだけの要素を盛り込みながら筋には破綻をきたしておらず、普通にめちゃくちゃ面白いので時間があればぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

まあ、アンナの心理描写、特に最後のほうは読んでてかなりつらいけど…。