美術館に行く
京都国立近代美術館のピピロッティ・リスト展に行ってきた。
予想通りというべきか、面白いことは面白かったのだが、正直もう少し下調べしてからいけばよかったと思った。
ピピロッティ・リストという人がどういう意図を持って創作しており、美術界においてどういう流れに位置づけられるのか、少し見当をつけてから行ったらもっと楽しかっただろうなあ。
現代アートは作品の技巧よりもコンセプトとかコンテキストが重要なことが多いと思うので。
現代アートの鑑賞はその作品からどのような思想的インパクトが読み込めるのか、想像するという行為だとわたしは思っている。
いわば論文なり書籍なりのインパクトを評価するという行為に近い。
加えて、自分自身の研究のインパクトをどう生み出していくかという実践的課題に対してもヒントを与えてくれるものだろう。
そういう意味では現代アートの鑑賞は研究にも役立てられるのではなかろうか。
常設展にも行った。面白かった作品を列挙する。
都路華香「達磨図」
キュートなだるまさん。福田平八郎「少女」
めかしこんだ女の子の立ち姿。Tシャツにプリントしたくなるかっこよさ。山岡良文「作品」
戦前の作。明らかにカンディンスキーとかモンドリアンの影響を受けているが、余白がたっぷり取られているところがよいと思う。日本でもこの系統の抽象絵画は戦前から受容されていたのですな。
そのほか工芸作品などでも印象的なものがかなりあった。
またフルクサス特集のコーナーも組まれていて、草間彌生の初期の作品なども展示されていたぞ。
常設展のほうは、順番に一つ一つ見るのではなく、とりあえず目に留まった(一目惚れした)作品だけをじっくり鑑賞するというスタイルで回ってみたのだが、このやり方で充分楽しめると思った。
もちろん、特定の作家のレトロスペクティブなど、「順を追って見ていく」ことに意義があるような場合もあるが。
ちなみに向かい側の京都市美術館はリニューアルしてから結局一度も行っていないので、近いうちに行きたい。
素敵な作品に心が動かされる感覚はよいものですね。やっぱり美術館には定期的に行っておいたほうがいい。
あまり関係ないが、帰りに吉田寮の前を通ったら新作看板が大量に描き下ろされていた。一番面白かったのはこれ。